「公式ブログ」には馴染まない私的なことで躊躇を覚えますが,明学に来たばかりの頃のゼミ生の訃報に接しました。一色德保さん。ロックバンド「つばき」のヴォーカルとして活動されてきました。
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彼は98J生(法律学科)でゼミに入ってくれたのは、丁度消費情報環境法学科ができた2000年のことでした。法律学科と第二部法律学科で1学年600人を超える学生がいた頃です。今の法律学科のように個別の学生の話題が出たとき他の教員もその学生を知っている様な教育環境ではありませんでした。多分彼のことを知っている教員はゼミの担当者しかいない、そんな時代のお話しです。

当時は,民法の最新判決を検討していました。彼は,音楽サークルの仲間3人でゼミに入ってきて他の二人は明るくてよくしゃべる学生でしたが、一色君は、低い声でボソボソと必要最小限だけ話すタイプでした(彼の歌をストリーミングで初めて聴いたときは、こんなに高いきれいな声なんだと初めて知りました)。ゼミ中に、学生に「最近どう?」みたいな自分の話をしてもらうことがあるのですが、彼とは「一色君は、室町時代の守護大名の末裔?」「いや、ずっと四国なので関係ないんじゃないですか」「四国どこ?」「愛媛です」こんなやり取りだけが記憶に残っています。プロのミュージシャンになるつもりなんてことも聞いたことがなかったです。上記サイトをみると、この年バンド「つばき」を結成したんですね。

当時ゼミ論文集を作っていて,学期末に研究室に一色君が原稿を持って訪ねてきたことがありました。ゼミ中に何をテーマにするかはっきり言っていなかったので心配していたのですが、論文のテーマは、性同一性障害者の婚姻でした。今でこそ大きく議論され、日本やアメリカでも新しい制度的な対応が現れてきていますが、当時は研究している人も少なく日本語で読める文献も限られている分野でした。パラパラ見たら、その少ない文献を押さえて検討されている様でなかなかやるなと思い、
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「随分チャレンジングなテーマを選んだね」
「他と同じじゃつまんないですから」
嬉しそうに笑いながら答えたのを印象深く覚えています。チャレンジングを褒め言葉と受け取る感性は根っから「ものつくり」だったんだなと今にして思います。これが彼と最後に交わした会話です(本当は少し中味について話したと思います)。

ネットで彼がデビューしたことを知り,その後10年以上,たまに元気かなと思いサイトや彼のツイッターを見たりするようになりました。その過程で闘病のため活動を休止し,回復して再開しを繰り返しながら音楽活動を続けていること,多くのファンに強い印象を与えていることも知りました。
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空を撮るようになったのは彼のブログからの影響かもしれません。
ご冥福をお祈りいたします。