明治学院大学法学部 公式ブログ

明治学院大学法学部の最新情報を発信中!2020年4月法律学科法曹コース開設 2018年4月「グローバル法学科」開設

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『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』が今年2023年5月12日から公開されました(中の人は、残念ながらまだみていないのです)。2015年夏に書いた記事を再再々掲載します。


先日環境関係の外部研究会で報告をして報告と議論が終わった後、「今日の話題は法学徒としては燃えますね」とある先生からお声をかけていただきました(この先生、偶然なのですが大学のサークルの大先輩です)。「法学徒」=法律を学ぶ学生=法学部生、私の時代でも死語でしたが、いい響きですね。
「法学徒」のみなさん、法学徒を目指す皆さんに、推薦アニメを。

「PSYCHO-PASS」 2012年に第一期、2014年に第二期がテレビで放映されました。第二期終了に合わせて劇場版も公開されました。

舞台は、2112年の日本。内容は刑事物です。未来ものですがモビルスーツも想像上の武器なども登場しません。テクノロジーも現在私達が知っている技術の延長線上にある程度のもの(自動走行システムとかドローンとか)で、そこら辺が妙にリアルです。

全く違っているのが社会システム。2020年に新自由主義が世界を席巻し、各国の政府は機能停止し経済力と武力という実力が支配し、社会秩序はあれまくっているという設定。その中で日本は幾つかの先進的テクノロジーを背景に鎖国を実施し、世界で唯一法治主義を保ち「理想的な」社会秩序が保たれている…。

何を書いてもネタバレになるので紹介が難しいのですが、法学徒の皆さんに身近なところで、このアニメのキーワードになっている「犯罪」概念についてだけちょっとお話ししましょう。

この社会ではシビュラシステムという無謬ないし誤りを自動補正する公平な判断システムにより実質上統治されていて(政治家も議会も役人もいるようですが、具体的な判断はシビュラシステムが行い、人間でないとできない作業を役人組織が実施しているようです)、このシステムで個人の精神的傾向を客観的に測定することが可能になっています。人の犯罪傾向も数値化(これをサイコパス=犯罪係数と呼んでいる)され測定可能で、この数字が一定水準を超えることが「犯罪」です。まだ具体的な犯罪行為を行っていなくても、測定・判断・執行器具である「ドミネーター」が「犯罪」を認定し、執行します。このドミネーターを捜査の現場で扱うのが「厚生省公安局」所属の刑事、監視官と執行官です(主な登場人物、第一期の主人公、第二期の主人公も刑事です)。なぜ「警察」「司法」の省庁でないかというと、「犯罪」は精神の病でもあるので国民の健康を管轄する「厚生省」に刑事がいます。

そうです。この社会では近代刑法の原則である「行為主義」はその役割を終え、主観主義刑法学の犯罪概念「人の精神の有り様」が犯罪であり、これを矯正し社会防衛を図るため、刑事責任システムは存在します。「人の精神の有り様」は裁判官には分からないので客観的に行った犯罪行為や状況から犯罪を捉えなければならないというのが主観主義新派刑法学の一つの矛盾だったのですが、「人の精神の有り様」をぶれなく、把握できるシステムがあるお陰で新派刑法学が貫徹可能なのです。因みにこの社会では裁判制度は執行停止状態になっています(民事法を学んでいる者としては民事裁判はどうなったのかが気になるところですが、出てきません)。
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(刑事物ですが、こんな法廷は出てきません、というより「ない」)
この物語、社会科学の基本的な文献の正確な理解の上に成り立っていて、マックス・ウェーバーやミッシェル・フーコーの著作の要点がうまく引用されており、その数は10を超えています。そして何よりこの物語の設定は絵空事ではなく、今の社会や政治システムの動きを考える上で重要な問題提起をしています。
紹介・解説すると全部ネタバレになるので残念です。

こう書いてしまうとつまらないように思えるかもしれませんが、何も考えずに見て「すごく面白い」です。毎回興奮できます。刑事物としても良くできています。総監督は「踊る捜査線」の監督として著名であり、脚本虚淵玄は「魔法少女まどか・マギカ」でその才能を見せつけた鬼才、エンターテインメントとして傑出しています。

法学徒のみなさんに是非見ていただきたいのは、第二期で成長した主人公「常守朱」が悩みながらあるべき社会を考え始めるところ。でも、お話は第一期から見て下さい。

人気なのでレンタルDVD屋さんにまだおいてあると思います。「旧作」になっていると思うのでお手軽に全編鑑賞できると思います。多くの学生さんは「知ってるよ」かもしれませんが、アニメにほとんど興味がないという学生さんに是非見ていただきたいです。皆さんの夏休みはまだまだ続くので、お暇なときにどうぞ。

         (M.A.)

(2020年再再掲時のコメント)
記事を書いて3年半たった2019年1月にも書きましたが、「2020年に新自由主義が世界を席巻し、各国の政府は機能停止し経済力と武力という実力が支配し、社会秩序はあれまくっているという設定」は、現在の社会階層分断と国際緊張をみると、このとき以上に笑えないリアリティを感じます。人間の尊厳・自律と秩序を語る権力との相克は、国内外の様々な問題を見る度に考えさせられる問題です。

ところで、自問自答で恐縮ですが、サイコパスの世界で民事裁判を起こすような人間はトラブルで色相が濁りきっているので、多分執行対象ですよね。しかたがって民事裁判は不要、ということで。因みにこの物語の世界では、「大学」は廃止されており、社会科学は御法度扱いで、自分を社会から隔絶することで身の安全を守る「犯罪学者」が登場します。


このブログは、1年半経った記事は削除するルールにしており、再掲した記事も削除対象になりますが、この記事、なぜか、ブログ内の高ヒット記事にずっとランクインしており、そのほとんどがグーグル検索から飛んできています。読んで下さる方がいらっしゃるなら、ということで、再々掲しました。
迷い込んで入らした方、よろしければほかの記事もお目通しいただけると嬉しいです。

(2023年のコメント)
AIが存在感を増し、人が裁く裁判の煩わしさ、危うさに頼るよりも、AIに紛争解決をさせてみる試みが始まったようです。東京大学の文化祭で先日行われたAI模擬裁判サイト。当日のリアルタイム配信のYouTube動画も視聴できます。

シビュラ類似のシステムに依存する社会も現実の選択肢の一つにまで近づいているのかもしれません。

AI刑事裁判の実施には、多くの議論を経て法改正が必要ですが、民事についてはもっと早くAIによる紛争解決が行われる可能性があるでしょう。
現在紛争を抱える当事者は、弁護士や社内法律家の見解を聞いて対応していますが、裁判をやってみて出る結論が予め高い確率で正確に出るのであれば、裁判を利用せず、その内容で交渉和解することも選択肢の一つになります。また、紛争両当事者の紛争解決を請け負うAI-ADR(裁判外紛争処理機関)が公正性を確保する仕組み(おそらくは技術的に制約をかける方法で)を確保して設置できれば、これを利用することで、当事者は、コストと時間がかかる民事裁判を回避し、さらに弁護士に依頼するコストも削減して、お互いに満足する結論に至ることもできるかもしれません。

その時、法学徒は必要なのか。おそらくは今以上に必要になると予想しています。
明治学院大学法学部には「AIと法」という科目があります。来年度「情報数理学部」が設置され、さまざまな協働が行われることに個人的に期待しています。

学生さんや外部の方から再掲のご要望をいただき、調子にのって載せてみました。

さあ、君も法学部に入って、「法の支配(rule of  law)」を人の力で実現しようともがく常守朱になってよ。







 

2023年度入学試験要項(自己推薦AO/社会人入学・編入学/A私費外国人留学生)が完成しました。

9月26日から自己推薦AO入試の出願受付がはじまります。
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受験にあたっては、必ず2023年度入学試験要項を確認してください。
出願には入学試験要項(紙製の冊子)の取り寄せが必要です。

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法学部では、消費情報環境法学科、グローバル法学科、政治学科の3学科がAO入学試験を実施します。
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※1 英語外部検定試験は、出願期間末日より2年以内に受験した試験結果のみ有効であり、TOEIC®を除いて異なる試験日のスコアの合算は認めません。なお、TOEIC®はL&RのスコアにS&Wのスコアを2.5倍して合算したスコアとします。また、実用英語技能検定(英検)はS-CBT・CBTも可とし、CSEスコアに関しては、総合点が基準を満たしていれば受験級および合否は問いません。TOEFL iBT®はHome Editionも可とします。
※2 評定平均値の記載された調査書を提出できない場合は、学力が出願資格の評定平均値相当であるかの確認を第一次選考に先駆けて行います。詳細は入学試験要項をご覧ください。
※3 調査書が発行されない場合は卒業証明書および成績証明書を提出してください。詳細は入学試験要項をご覧ください。

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8月のオープンキャンパスでは、各学科イベントの個別相談において、自己推薦AO入試に関する質問も受け付けます。

◆消費情報環境法学科 個別相談会 
 8/6(土)、8/7(日) 横浜
 8/26(金)、8/27(土) 白金

◆グローバル法学科 グローバル法学科在学生による個別相談会
 8/6(土) 横浜
 8/27(土) 白金
グローバル法学科で学んでいる在学生が高校生のみなさんの質問にお答えする個別相談会。授業内容やカリキュラム、入試、大学生活、課外活動など、在学生のリアルな声を聴く貴重な機会です。AO入試合格者も参加予定です。

◆政治学科 学生と教員による政治学科個別相談会(要予約)
 8/7(日) 横浜
 8/26(金) 白金
政治学科の学生と教員が、政治学科の特徴的な学び、学生生活、就職先の傾向など皆さんの素朴な質問に個別に答えます。

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出願・受験にあたっては、各学科のアドミッションポリシーや推薦図書を読んでおくことを強くお勧めします。

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今年は第1期生以来となるグローバル法学科のカリキュラム留学が予定されています。
出発の下見を兼ねて、羽田空港第3ターミナル(旧国際線ターミナル)を見学しました。
コロナ前最後の海外渡航(2020年2月)は成田を使った記憶があり、このターミナルは第1期生のDCU留学組を出迎えに行って以来(2020年1月)のような気がします。

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この日の昼間はゼミのみなさんと三浦市へ遠足。毎年恒例のゼミ行事のひとつです。

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すばらしいお天気でした。秋学期からは、グローバル法学科のゼミ生が留学に行ってしまうので、ゼミ生の人数は半減してしまいます。みんな一緒にゼミ活動できるのも、あと3か月弱となりました。

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ちょうど同じ頃、横浜校舎では、来日中のリーズ大学のMicさんによる留学説明会が行われていました。

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講演の様子は、Zoomでも同時配信されました。
スライドや資料は、留学・キャリア準備講座1および留学準備講座3のmanabaで配布されています。

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さて、三崎口から京急で羽田空港国際線へ。

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両替所もかなり閉鎖されており、営業しているところは限られていました。

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まったく飛んでいないというわけではなく、JAL、ANAを中心に、若干の便が運航されています。
JALのカウンターでチェックインしていたのは、おそらくシドニー便の乗客のみなさんだったのでしょうか。

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おそらく羽田・成田とも、集合場所は団体カウンターになることが予想されます。

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カナダ組は成田からの出発と予想されますが、立て看板は置いてありました。
その横には某エアラインの看板も・・・

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せっかくなので、税関の展示コーナーも見て回りました。

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期末試験でも、六法に細工をすると不正行為になります。

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まるでゴーストタウン。

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祈祷室は使えるようです。

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出発口は以前と変わっていました。

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フライトが確定したら、ぜひ事前にターミナルを訪問して、下見をしておくことをおすすめします。

法学部では、昨年12月からオリジナルサイトのリニューアル作業を進めています。
新緑の美しい季節になり、対面授業が増えて学生たちが大学に戻ってきましたので、新しいサイトに使用するキャンパスイメージの写真撮影を白金校舎で行いました。

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この日は雨の予報でしたが、幸運にも午前中から陽がさしてくれました。

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チャペル内のイメージ写真

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ヴォーリス広場

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気になる写りは?

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教員著書も撮影

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法廷教室の撮影。うっかりマスクをしたまま撮影を始めてしまったので撮り直し。
なお、今回の写真撮影においても、すべて撮影時のみマスクを外しています(背景に写り込む場合も)。

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法律学科のゼミ風景

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グローバル法学科のイメージ写真撮影

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もちろん先生方の写真撮影も

おそらく5月中には新しい写真に差し替えられるものと思います。
どうぞご期待ください。




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