明治学院大学法学部 公式ブログ

明治学院大学法学部の最新情報を発信中!2020年4月法律学科法曹コース開設 2018年4月「グローバル法学科」開設

タグ:環境法


明治学院大学法学部で2007年から10回以上講演され、2018年のグローバル法学科開設記念講演会でもご講演いただいた、ダニエル・ファーバー先生の環境法の教科書が先月2020年7月末に刊行されました。

ダニエル・ファーバー著『アメリカ環境法』(勁草書房)


アメリカのロースクールではケースブックと呼ばれる判例、制定法、論文など抜粋を整理した教科書を授業で用いますが、学生がその分野の概観・骨子を自習するための概説書も出版されています。本書の原著Environmental Law in a Nutshell, 10th ed.(West Academic)は、そのような概説書であるNutshellシリーズの一冊です。
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ファーバー先生(2018年12月 グローバル法学科開設記念講演会 白金キャンパス)
 
アメリカ環境法の主導的研究者で、環境法、憲法のケースブックも著しています。カリフォルニア大学バークレー校ロースクール教授。
 

秋学期に開講されるGlobal Legal Studies 3では、ケースブックに用いられているマテリアル(判例や論文)を使って、アメリカの環境法を勉強します。全体像、授業で扱われるテーマの詳細な位置づけ、授業で扱えない部分などを知るのに本書は大変有益です。

ここに迷い込んできた、環境法研究者・実務家のみなさま。素材にもあたることができるよう、判例リスト、事項索引も翻訳ページにリンクして作られています。現在のアメリカ環境法を日本語で概観できる唯一の単行本であり、原著(2019年5月刊行)出版以降の動向をファーバー先生が日本語版前書きで解説する、翻訳版だけのコンテンツもあります。お求めいただければ幸いです。


 

9月20日、気候変動(地球温暖化)の問題をアッピールする世界規模での子供や若い世代による大規模なデモ,ストライキが行われたことをご存じでしょうか。子供が学校の授業を欠席して、政治的指導者に早急に気候変動対策措置をとることをデモでアッピールしたようです。

アメリカの三大ネットワークの一つCBSもネットで特集サイトで報じています(リンクは事前許可が必要のようで、タイトル名で検索お願いします)。
ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコなどのアメリカの都市だけでなく,ロンドンやベルリンなどの先進国の主要都市、途上国でも同様のデモがあったと報じられ、バヌアツ、キリバスなどの海面上昇の危機にさらされている諸島国の子供の声なども掲載されています。
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サンフランシスコの様子が下記リンクから読めます。
Legal Planet: Teach Your Parents Well - A view from the Youth Climate Strike in S.F.

オーストラリアでも30万人の子供、学生がストライキに参加したとのことです。

気候変動は、過去及び現在の人間活動が現在及び将来の人類・環境に損害を与える、緩慢な「不法行為」といえ、被害者になる子供が加害者ないしその承継者世代である現在の政治的指導者に対応を求めるのはある意味自然なことでしょう。
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以前このブログでファーバー先生のブログ記事を紹介しましたが(気候変動と将来世代)、その主旨は、気候変動の被害者はあなたの子供や孫だ、というある意味当たり前で、とても重要な指摘でした。

明治学院の教育理念「Do for others」は、聖書「マタイによる福音書」新共同訳7章12節「だから、あなたが人にしてもらいたいと思うことはなんでも、あなたがたもひとにしなさい」が出典として引かれています。何が「だから」なのか。同9節〜11節にこの規範の理由が書いてあります。一部を引用します。「あなたがたのだれが、パンを欲しがる自分の子供に、石を与えるだろうか。魚を欲しがるのに、蛇を与えるだろうか。このように、あなたがたは悪い者でありながらも、自分の子供には良い物を与えることを知っている」

緩慢で見えないこといいことに、自然科学の知見を無視する傲慢さはどこから生まれてくるのでしょう。
自分の子供の真摯な声に耳を傾けることができるか、私達の人間性が問われているのではないでしょうか。




 

昨年12月にグローバル法学科開設記念講演会で講演いただいたファーバー先生は、先生の所属されているカリフォルニア大学バークレー校、及び同ロサンゼルス校に関連する環境法研究者とブログを公開しています。
Legal Planet

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 記念講演後質疑応答中のファーバー先生。背景のスライドが上記ブログLegal-Planetのロゴです。

本日アップされていた記事(Climate Change and Your Family’s Future)が 記念講演「グローバルな法的課題としての気候変動」でテーマの一つにされていた将来世代への影響を、2000年生まれの人の一生を想定して書いてみるというものでした。

概要は次の通りでした。
今の大学一年生=2000年生まれの人は、アメリカの人口統計からのライフスタイルを当てはめると今世紀末2100年には子供が五分五分で生存しており、孫はおそよ50歳で高い確率で生存している。
IPCC(International Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)の2015年報告書に拠ると、2100年には、人類ができる限りの取組を行い極めて低いレベルに排出を抑えたシナリオで地球全体の平均気温が摂氏1.5度、それなりの取組をして低いレベルに抑えたシナリオで2.3度、取組に失敗して高いレベルの排出をこのまま続けた場合のシナリオで4.6度上昇する。そのために海面はそれぞれ、15cm、45cm、225cm上昇する。
今大学に入ったばかりあるいは仕事に就いてばかりの2000年生まれのみなさん、あなたの子供や孫は2100年の気候変動に直面することになる。今私達が取り組みに失敗すれば,彼らがその代償を払わなければならない。

バル法の2年生のみなさんは、想い出したでしょう。講演でファーバー先生が最後に力説されていた内容そのものです。 
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2100年というとすごい先のようにも思えますが、そこに暮らすのは顔を知らないどこかの他人ではなく自分の子供や孫を含めた将来世代だと考えればすぐ先のことと理解できます。

ファーバー先生の記事には簡単な今後のみなさんの家族の年表がついています。その間の平均気温上昇の予想がついており、最悪のシナリオではおよそ30年後みなさんが50歳になったときには2.6度上昇となっています。単純に推測すると海面が平均で45cm上昇すれば、現在陸地として我々が使用している場所の一部はそのままでは使えなくなるでしょう。台風や豪雨で被害を受ける地域も今よりも遙かに広くなることが容易に想像されます。この先30年間でその対策のために多額のインフラ整備予算(浸水防止工事や新たな都市開発など)が必要になるかもしれません。何より平均で今より2.6度高い気候で夏の最高気温は何度に達するのでしょうか。中年になったみなさんがそこで生活していけるのか、親世代は心配ですし責任を感じます。

 

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