明治学院大学法学部 公式ブログ

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タグ:裁判官

昨日222日白金キャンパスで、「早稲田大学大学院法務研究科と明治学院大学法学部との教育連携に関する協定」の調印式が行われました。

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今回の協定は、早稲田大学大学院法務研究科と明治学院大学法学部が、文部科学省中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会における議論を踏まえ、「法曹コース」が制度化されることを見据えた大学間の協議を開始することにより、教育連携を推進することを目的としたものです。


その内容の骨子は、

①明治学院大学は、早稲田大学大学院法務研究科と連携して法科大学院既修者コースの教育課程と一貫的に接続する体系的な教育課程(「法曹コース」)を編成し、法曹志望者や法律の学修に関心を有する学生に対して、学部段階からより効果的な教育を行う。

②早稲田大学大学院法務研究科は、質の高い法曹養成と地域法曹教育支援の理念に基づき、明治学院大学法学部の法曹コース修了予定の入学志願者を対象とする特別選抜を行い、当該選抜に合格した者を早稲田大学大学院法務研究科の既修者コースに入学させる。

点にあります。

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明学法学部生にとってのメリット 

これまで早稲田大学大学院法務研究科には、本学法学部から優秀で有為な人材を送り出しており、一定数の司法試験最終合格者を輩出してきました。今回の協定を経て、今後本協定を締結することにより、本学法学部の優秀な学生を確実に早稲田大学大学院法務研究科に入学させることができる仕組みが整うことになります。

この仕組みができれば、本学法学部生で法曹を志望する優秀な学生にとっては、有力な法科大学院での勉学が保障されることになり、より夢の実現に近づくことができます。

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あわせて、本学法律学科においても、学生の卒業後の進路について、明確に法曹養成を行うということをカリキュラムポリシーとし打ち出すことによって、法曹を志望する学生達のニーズにこれまで以上に対応します。


具体的には、

法律学科に、法曹(裁判官・検察官・弁護士等)をめざす人のための教育を行う「法曹コース」が2020年度の法律学科2年次生(この春に入学する1年生以降)から設置される予定です。法曹コースでは、他大学法科大学院と連携して一貫教育が行われ、コース在籍者は、学部での成績が重視される特別選抜枠で法科大学院を受験することが可能になります。協定先の法科大学院へは大学入試の指定校推薦類似の方法で進学できることが想定されています。
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法律学科に進学予定の新入生、弁護士や裁判官になってみたいと考えている高校生のみなさんにとっては進路の可能性を拡げるニュースです。今後の法律学科からの続報にご注目下さい。 

みなさん、新年いかがお過ごしでしょうか。

法学部ブログも、蛯原先生が始められた法律学科主任ブログを2014年に法律学科ブログに移行してから4年半が経ちました。誤解や混乱を招かないように(入試情報など),一定期間を経過したものは公開しないことにしました。

他方,昔に書いた記事でも残しておいた方がよい(と勝手に勘違いしている)ものもあるので、ゆっくりペースで再掲していこうと思います。

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2016年3月11日 「法学部生に薦める本〜その1 法服の王国」

東日本大震災から5年たちました。犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。また被害に遭われた方々の生活とお気持ちが少しずつでも明るいものになっていくことを希望します。

昨日3月11日大学でも黙祷の時間があり、私たち法学部でも会議中でしたが、議事を止め全員で祈りを捧げました。
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さて、本日は、教員が法学部生に薦める本の第1回目(蛯原先生にも誰にも相談していないので第2回以降があるのかは定かではありません)です。

黒木亮『法服の王国 小説裁判官(上・下)』(岩波現代文庫)
  • ISBN-13: 978-4006022730
  • ISBN-13: 978-4006022747

「法服」とはご存じの通り、裁判官が法廷で身にまとう黒いガウンのことです↓。
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写真は白金キャンパス11号館の法廷教室 田村ゼミ(行政法)模擬裁判

物語の舞台は、昭和40年代から平成23年3月11日まで。序盤は3人の若者(法学部卒業1年目の司法試験受験生、法学部4年生、大学受験浪人)の視点が切り替わりながら、話は進みます。副題通り、裁判官という仕事がテーマです。

読んで驚いたのは、物語にたくさん出てくる事件・判決、政治家や最高裁裁判官の名前のほとんどが本物・実名なところ。上記の主人公的登場人物3名および彼らと関わる人物はフィクションですが、裁判や司法行政で起きた事件、政治の動きなどはほとんどが事実のようです。少なくとも仮想の判決は出てきていません。資料やインタビューを元に起きた事実を物語の登場人物を通してつないでいく、ドキュメンタリーに近い小説です。

法学部の授業で必ず勉強する判決もよく出てきて、判例百選や判例解説では表に出てこない、事件の時代的背景や判決に至った様々な事情が物語を通じて理解できます。その意味で、まずおすすめです。

話の展開の軸になっているのは、裁判官の独立への侵害として社会問題となった裁判官再任拒否・任官拒否問題と原子力発電所の設置・操業を争う裁判です。

皆さんが憲法の授業で勉強した「長沼ナイキ訴訟」をめぐる裁判所内部での動きが描かれています。有名な「平賀書簡」(司法行政上上位にいる裁判官が、事件を担当する裁判官に担当事件についての「参考」としてあるべき結論と理由付けを送った手紙)事件です。

原発を巡る裁判では安全性を巡る立証の過程がかなりの分量を割いて描かれています。特に伊方原発での証人尋問では、エリート裁判官の道を歩む主人公の一人を法務省付訟務検事(国が当事者となる裁判で国の代理人となる役職で、裁判官が法務省に異動しこの職につくことがある)として登場させ、緊迫感のある攻撃防御を表現しています。行政訴訟と民事訴訟の違い、民事訴訟の本案の訴えと仮処分の違いなどもわかりやすく説明されています。この手の説明が随所にあり、法律を勉強したことがない人でも話の流れやディテールを楽しめます。

出だしで著者自体がネタを振っているのでネタバレにはならないと思うのですが、物語の最後の山場は志賀原子力発電所訴訟(小説では日本海原子力発電所。立地場所、判決の裁判所・日付、判決内容も全く一緒)の金沢地方裁判所判決です。地方の裁判所を転々とする別の主人公がこの裁判の裁判長。

実際の志賀原発訴訟金沢地裁判決の裁判長は、退官後弁護士となり、今週水曜3月9日に出された、高浜原子力発電所運転停止の大津地裁仮処分決定の事件の原告弁護団団長を務められています。原発の運転停止を命じた初めての仮処分であり、関西電力が本案で争う姿勢を維持しながらも命令された4号機の運転停止を実施し、新聞やネットでも大きく報じられていたのでご存じだと思います。

なお、この方の経歴と小説の主人公の設定は一致しておらずいわゆる「モデル」ではないようです。小説の仮名の登場人物は、基本設定されたフィクションのようですが、司法行政の大物として登場する「弓削晃太郎」は、最高裁長官を務めた矢口洪一裁判官が「モデル」のようです。

この本、1月中旬に目黒の書店で偶然手に取って気まぐれで買ったのですが、帰りの電車で読み進めていくうちに、学生さんが読んだら勉強になるだろうなと思い、いつかブログの埋め草で紹介しようと思っていました。上記大津地裁仮処分決定と福島第一原子力発電所事故の一因となった3月11日から5年を迎えた今週がこの本をお薦めするのによいタイミングかと思い書いてみました。
お薦めします。

                       (M.A.)









 

 

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